博士が教える ! こどもが理科好きになる秘訣〜自ら考える力を重視する〜


博士が教えるこどもが理科好きになる秘訣〜自ら考える力を重視する〜


皆さまこんにちは。
ママそらこども未来館のスーパーサイエンスプロディーサーに着任した山崎詩郎と申します。
子供向けの科学実験ショーから大人向けのサイエンスカフェまで、科学をわかりやすく伝える活動をしています。

でも、その正体は大学で物理の研究をしている科学者なんです。まずは自己紹介代わりにどんな研究をしているのか簡単にお話しします。

とてつもなく小さい原子を研究しています

身の回りのものはすべてあるものからできています。鉛筆も消しゴムも机もテレビも携帯電話も地球も太陽も・・・。
そのあるものとは、そう、原子です。身の回りのものはすべて原子というとても小さな粒を組み合わせてできています。

では原子はどれぐらい小さいのでしょうか?原子の大きさはなんと約0.0000000001m、といってもなかなか実感できませんね。では原子がどれくらい小さいか実感できる例をお伝えしましょう。

人差し指を表向きにして自分の目の前に持ってきてください。
その指先の上に2cmのミニ日本列島がちょこんと乗っかっているところを想像してみてください。そのミニ日本列島は本物の日本列島と同じです。ミニ日本列島にはちゃんとあなたの住む都道府県もあります。

ここまで想像できていますか?

さらに、そこには都市がありビルがあり、線路にはガタンゴトンと音を立てる電車も走っています。学校や家があり、ミニ人間が生活を営んでいます。
あなたの指先の上のミニ日本列島に住んでいるミニ人間の指先の大きさ、これが原子の大きさです。

どうですか、原子がどれだけ小さいか少し実感できたのではないでしょうか?

ではこの小さな原子を直接見るにはどうすればいいでしょうか?それについてはまた今度ご紹介しましょう^^

私の研究の話はこれぐらいにして、ではなぜ今こうして研究する仕事に就いたのでしょうか?
それはこどものころから理科が大好きだったからです。

私が理科好きになった理由

ママの中には、こどもを理科好きにさせて、将来は理系に!科学者に!なんて気合を入れている方もおられるかもしれません。ではどうしたらこどもに理科好きになってもらえるのでしょうか?

コラム初回の今回は、私が理科好きになったエピソードをひとつ紹介します。
ママたちのわが子が理科好きになるヒントになれば嬉しいです。

【考える力】重視だった小学校の先生との出会い

私は小学校の時にとある先生に出会いました。私が理科好きになったきっかけを語るうえで欠かすことができない先生です。

先生の理科や算数の授業は変わっており、教科書に載っている公式や用語をそのまま説明するということはあまり行いませんでした。理科の授業では実験や自由研究を軸足として、自分で「疑問を見つける」「実験方法を考える」「結果を予想する」「実験で確かめる」「考察する」「まとめる」といった流れを中心に進んでいました。

数学でも公式を使うのではなく、教科書にない方法で公式を「導く」ことに主眼を置いていました。このようにこどもが自分で【考える力】を重視していました。

「石灰水のエピソード」

ひとつ「石灰水のエピソード」を紹介しましょう。
とはいっても、石灰水ってなんだったっけ?状態の方もいるかもしれません。そんな方のために3行で復習しておきましょう。

・石灰水は普段は無色透明の液体です。
・息をストローでブクブク吹き込むと白く濁ります。
・息に含まれる二酸化炭素が原因です。

小学生時代の理科室の香りとともに、少し思い出してきたでしょうか?

理科のテストでこんな問題がありました。
問:「石灰水に空気を吹き込むとどうなるか答えましょう」
息ではなく空気であることがポイントです。

答は「変わらない」です。
空気には二酸化炭素はごく微量しか含まれていないからです。

私はその問いに「少し白く濁る」と答えたため、不正解となりました。
私は思うところがあったので、なぜ不正解なのか授業を中断して先生に質問しました。
すると先生からなぜ「少し白く濁る」と思ったのか理由を説明するように言われました。

「空気にも二酸化炭素が0.03%入っている。だから少し白く濁るはずです。」と答えました。5分ほど議論が続きましたが、最後には先生は「わかった」といって正解にしてくれました。

こどもが理科好きになるには考える力を重視・尊重すること

当時の私の答えは間違いです。先生もそれはもちろんわかっています。また、先生の行動に賛否両論はあるかもしれません。ですが、一つだけ正しいことがあります。
それは、その先生が、こどもの自分で理由を【考える力】を何よりも重視・尊重していたことです。

答えの型にはまらず、こどもの「なんで?」や「こう思う!」に寄り添うことが重要です。
理科に限らず、勉強好きになる秘訣だと思います。

それから約30年たちますが、この時の喜びがきっかけで私は科学者になりました。
こうした喜びを、ママそらこども未来館の子どもたちや親御さんにもお伝えしたいと思い、楽しい科学教室などを展開していきます!

次回のコラムでは、学校の外でも【考える力】をつけちゃう方法を、サイエンスキャンプ参加の体験談を軸にお話しします!


山崎博士
山崎詩郎 博士

2003/4 -東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了 博士(理学)に
2007/4-東京大学物性研究所 博士研究員
2009/5-ハンブルグ大学 応用物理学研究所博士研究員
2012/2-大阪大学大学院工学研究科特任講師
2015/4-東京工業大学総合理工学研究科材料物理科学専攻 助教
第10回日本物理学会若手奨励賞受賞

研究の傍で個人として、NPOサイエンスステーション、株式会社リバネスと協力して、小学生向けの実験教室、高校生向けの出前授業、一般市民向けのサイエンスカフェなどの立ち上げから運営や講師まで年間20件程度実施。


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4月2日(土)都内にて【あおぞら科学教室&お花見 〜遊びを通して科学好きになろう!】を開催します!
詳細はこちらのイベントページからご確認ください。↓↓
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