李恭子さん<兵庫県>ママそら「今日の輝くママ」No.1457


「好きなことを思い出して大切にしてあげます」

今日の輝くママはNPO法人こどもサポートステーション・たねとしずく職員として活躍されている李恭子さん。
ひとり親家庭や特にこども達・若者の「権利」が守られる社会を目指して活動されている恭子さんの素敵なメッセージをお届けします☆

【名前】李恭子(りきょうこ)

【お住まい】兵庫県西宮市

【子ども】長女(20歳)、次女(15歳)

【職業】
NPO法人こどもサポートステーション・たねとしずく職員

長く専業主婦でしたが、8年前に仲間たちと団体を立ち上げ、産前産後の家事支援の事業基盤を整えました。
これは、産前産後に家族以外の人に助けてもらうことのなかった私にとって、社会で子育てする風通しの良さを実感する経験でした。また、私を含め、多くの女性が内面化している「こうあるべき」という社会規範に気づくきっかけになりました。
そしてそれは性別に関わらず、この社会に根強く残る規範でした。

その後、助成金を得てひとり親家庭への家事支援を3年間行いました。
その過程で「権利」「人権」が守られる社会を目指すというミッションを意識するようになりました。

2022年9月にひとり親事業の仲間と新しい団体を立ち上げました。4月からは新団体「たねとしずく」の一員として、ひとり親家庭や特にこども達・若者の「権利」が守られる社会を目指して活動を始めています。

【最近嬉しかったこと】
体調を崩し、気持ちも沈んでいた時に、信頼できる人に連絡をしてとにかく話を聴いてもらいました。専門家も友人も人生の大先輩も。
落ち込んでいる時は自分に自信がなくなるものですが、連絡を取った時点ですでにだいぶほっとしていました。
聴いてもらううちに、課題がふと整理されて、次にどう動くかという自分なりの回答にたどりつくことができました。私にもまだ力があると思えました。

【輝くママの秘訣】
私は、市民活動を始めて「フェミニズム」に出会って大きく変化しました。
日本社会だけでなく在日韓国人の社会にも根強く残っていた「女性らしさ」の皮をたくさんかぶっていて、いい母やいい妻やいい娘でいようと生きていました。
その時の私は、こどもの評価が自分の評価になっていて、こどもがまわりのこども達とうまく関係をつくれないと不安に押しつぶされたものでした。

「フェミニズム」に出会い、社会が求める「女性らしさ」の皮を一枚一枚はがす作業をしていきました。
はじめは変化が大きすぎてとまどうこともたくさんありましたが、行きつもどりつしながら、今はずいぶん自由になって、自分を一番大切にすることを知り、「私のことは私が決める」と思えるようになりました。
「エンパワーメント」という言葉の意味を体感しました。

でも、長く身に着けた思考を取り払うのは簡単なことではなく、時には力がないなあと自信をなくすこともあります。
そういう時は仲間と話します。「フェミニズム」との出会いは「連帯」できる仲間との出会いでもあり、大きな財産です。

また日常的には好きなことを思い出して大切にしてあげます。
誰かに自慢できるくらいうまかったり、詳しいわけじゃないし、好きって誰かに言うの恥ずかしいなあ。。なんて自分の「好き」に自信をもてない期間がありました。
今一番好きなのは短歌を詠むことです。一緒に楽しむ友人もできました。
音楽を聴きに行ったり、本屋さんという空間が好きなので、個人経営の本屋さんを巡るのも休みの日の楽しみです。

【住んでいる街の好きなところ】
まだ住宅地に畑が残っているところがいいなあと思います。
甲山の農地にも子どもが幼い時にお世話になりました。今年は私ひとりで時々行きたいなと思っています。

映画館や芸文センターが近いのも嬉しいことです!

それから、これから団体で居場所を立ち上げます。
こどもの本に特化して一箱本棚マンスリーサポーターを募り、こども図書館を併設したこども・若者の居場所になる予定です。
きっとそこがだいすきな場所になると思います。

【全国のママ・プレママへのメッセージ】
もしなにか、困ったことがあったり、自信をもてないことがあっても、それは個人の問題じゃなく、社会構造だったり、「こうあるべき」という社会規範の問題が大きいと思います。
産前産後の家事支援をしながら、多くの女性が「母」「娘」「妻」「働く女性」などいろんな役割を担い、しかも「こうあるべき」という規範に苦しんでいる状況をみてきました。
それは私自身の課題と地続きでした。

妊娠中・子育て期はじゃぶじゃぶ助けてもらってくださいね。それは社会構造を変えることにつながります。

【目標・活動など】
新しい団体を立ち上げましたので、その活動を多くの人に知ってもらい、支援者を増やすことが今年の目標です。

①こども図書館のある居場所の開設
「こども」の本を置いてくださる一箱本棚マンスリーサポーターを募っていきます。
「こども」と言っても絵本を楽しむ小さいおこさんから10代の若者まで、いろんな可能性があります。「こども」のための本は、「こども」しか楽しめないわけではなく、大人が読んでも楽しいものです。一緒に図書館をつくってくださる方が集まってくれると嬉しいです。

②「こどもの権利を尊重する」とはどういうことかを言語化する
「こども」「若者」の声が社会の中で正当に扱われること、そのために私たちはどんな声かけをし、どんな姿勢で関わるのかを言語化していきたいです。
一番弱い立場に置かれやすい「こども」の権利を尊重することは、すべての人の人権を尊重することにつながるはずです。「子どもの権利」「意見表明権」について学びを深めていきたいです。
最近本を読んだり仲間と話す中で考えたこどもとの関係づくりで大切なことは、時間をかけ、生活をともにし、前のめりにこちらが言いたいことを言わず、よく観察し、話したそうなこと・話せそうなことを見つけ、機を逃さないこと、です。
多くの人と共有できるような言葉を団体でつくっていきたいです。

ホームページ:
https://tanetosizuku.com/

ライター:関西支部 田中佐江子  (2023.5.10)


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