1.グレーゾーンの子どもを理解しよう! ~もしかしたら発達障害?~



株式会社パワーキッズ取締役

「エンピツらんど」創業者
立石美津子
 
はじめまして、立石美津子です。 18年前、株式会社パワーキッズを創業しました。幼稚園・小学校向け課外教室《エンピツらんど》を運営しています。全国280ヶ所の幼稚園・保育園に教室があり現在7000名の生徒が通っています。
 
私自身、自閉症児の子育てをしながら、現在、3歳から小学校3年生までの健常児・発達障害児の指導法の開発に奮闘中です。
 
つい先日、作家デビューし著書に「小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと」「読み書き算数ができる子にするために親がやってはいけない104のこと」(中経出版)があります。AKBを抜いて一瞬、第一位で累計3万部売れました。こちらも是非、ご覧ください。 今週のコラムでは、発達障害についてお話させていただきます。
 
 
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1.うちの子、ちょっと育てにくい。もしかしたら発達障害?

 
<はじめに>
“発達障害”についてご存知ですか。この障害の基礎知識については最近、注目されてきたこともあり書籍やネットを通して溢れんばかりの情報があります。私は大学教授でもなければ専門の医師でもありません。単に特別支援学級の教員免許の資格があること、30年間幼児教育の現場にいること、そして自分の子どもが自閉症であるということです。現在進行形で家出をしたくなるくらい大変な子育てをしている一母親でもありますが、そのことが机上の空論ではないより実践的で具体的な情報を提供できるものだと信じております。
 
ここで1点だけ補足させていただきたいことがあります。発達障害とは全人口の6%~10%はいると言われママ友の子ども、又、自身の子どもがそうである確率は高いです。しかし、私の息子は知的障害を伴う自閉症です。IQが38しかありません。このシリーズでは息子より軽度の知的障害またグレーゾーンの子どもについて多く述べますが、自閉症スペクトラムというカテゴリーの中で例えとしてわかりやすいと考え息子を卑近な例として数多く例として挙げております。その点をご理解下さいますようお願い致します! これから月~金曜日5回に分けてお話ししていきたいと思います。
 

発達障害の基礎知識。あやしいな?と思った時

 

 
この写真をご覧ください。合唱に参加せず後ろで本を読んでいる子ども。保育園でのクリスマス会、みんな衣装を来てサンタさんの話を座って聞いているのに立って歩いている子ども。先生が前で紙芝居をしているのに昼寝をしている子ども。衣装を着ることができず先生に抱かれて泣いている子ども。これらは自閉症の息子の保育園時代の写真です。
 
一生懸命に子育てしようとすればするほど何だかカラ回り。周りの子どもと同じようには成長してくれない。顔では「うちの子は個性的なの」「元気でわんぱくでしょ」なんて笑い飛ばして言ってはいるものの私の心中は穏やかではない。家では「どうしてみんなと同じようにできないの!」「何度言ったらわかるの!」と、叱ってばかりいる。周りからは「あなたの躾がなっていない」と言われ、自分自身を追い詰め、気が付いたら子どもに暴言、手もたまに出ている。「これってもしかしたら虐待?」と思いつつも自分を止められない。そして努力の甲斐なく周りの子どもと自分との差が日に日に開いていくことを感じる。
 
そんな暗い気持ちで子育てしていました。
 

実際に障害の子どもはその育てにくさ故に親から虐待を受けているケースも少なくありません。その中で知能の遅れのない“発達障害の子ども達(グレーゾーンの子ども達)”は親が最も悩む所ではないでしょうか。
 
まず、母親自身が発達障害の基礎知識を持たなくては気づきがありません。詳しくはご自身で書籍やネットで調べてください。ここでは簡単に記しておきます。
 
発達障害は下記の4種類を差します。

1. 学 習 障 害 (LD)
2. 注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
3. 高機能自閉症(=言葉の遅れのあるIQ70以上の自閉症)
4. アスペルガー症候群(=言葉の遅れのないIQ70以上の自閉症)
*3,4を称して“広汎性発達障害”といいます。

 
知的には遅れがないため、早期に気付くことが難しい“見えにくい障害”とも言われています。これらの障害は心の病気や精神の病ではなく先天的な脳の障害です。脳の障害ですから、親の育て方や家庭環境、躾の問題により生じるものではありません。親の愛情不足で自閉症になるわけでもなく、本人の努力不足や怠けで学習障害になるわけもなく親の躾が悪くて多動になるわけではないことを、まずしっかりと押さえて下さい。
 

障害の特徴

 
各障害の特徴を簡単に記しておきます。
 
1.学習障害(Learning Disorders=LD)
 
学習障害、LDは学習面で特異な躓きがあります。単に怠けていて学力が低くなっているものを指すのではありません。先天的な脳の障害のため、学力が低下しているものを指します。実際は障害なのか、単純に学力が身に付いていないのか、瞬時には判断しにくいものです。この障害は、勉強する場面で初めて気づかれるので、幼児期に周囲が気づくことは少なく、小学校4年生以降に診断を受けることが多いです。コミュニケーション能力には問題はなく、文字の読み書きや算数が極端にできません
 
学習障害の代表である“読字障害”(デスレクシア)は目ではその文字を見ていても、音と一致しない状態になります。このため極端な“拾い読み”になったり、読める文字だけ読む“とばし読み”“ゆっくりと何度も読まないと理解できない”などの現象が見られます。手先が不器用なことも多く、細かい手先を使った作業が苦手で鋏や鉛筆をうまく使えず、文字を書き写すことが苦手です。算数では学年が上がっても簡単な計算が指を使わないとできなかったり簡単な繰り上がり・繰り下がりさえできなくなります。
 
2.注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

 
注意欠陥多動性障害、AD/HDは不注意、落ち着きがなくじっとしていられない多動性、突発的に何かをしてしまう衝動性などを示します。「うわのそらで何かと忘れ物が多い」「約束や決まりごとを守れない」「直ぐに気が散る」「授業中立ち歩く」「席は離れなくても身体を常に揺する」「行動や感情を爆発させる」「片付けが出来ない」などが主な特徴です。
こうなると、幼児は多かれ少なかれ集中が短いですからAD/HDに当てはまる気がします。しかし、AD/HDは5歳なのに2歳児のような行動をするなどそれの行動が極端に激しく、その状態が6ヶ月以上続き、学校だけとか家だけとかの一場面に限定されたものではなく、さらにそれが実際生活する上で不都合となっている場合を指します。この障害は小学生になると授業に集中できないため学力の低下を招きます。
 
3.自閉症(4.広汎性発達障害……高機能自閉症・アスペルガー症候群)
 
自閉症は障害の程度により重度・中度・軽度とありますが、発達障害の自閉症はIQ70以上の知的に遅れのないものを指します。この中で言葉の発達の遅れがある自閉症を“高機能自閉症”言葉の遅れのないタイプを“アスペルガー症候群”と分ける場合もあります。これらを総称して“広汎性発達障害”と言います。
 
自閉症は生まれつきの脳の障害による社会性、言語・コミュ二ケーション、想像力の障害を示します。特定なものへのこだわり、パニック、音に対する聴覚過敏や手触り、接触に対して感覚過敏もあります。
コミュニケーションというのは、表面的な言葉のやりとりではなく、相手との親密度、視線、表情、身振り手振り、抑揚といった非言語的手段を用いた上に成り立つものです。自閉症の人は相手からこれらを受信したり自分から発信したりすることがとても苦手です。
 
相手の気持ちが読めないため、その場にふさわしい言葉や態度を選ぶことができません。初対面の人に適切な挨拶ができず、昔からの親友のようにいきなり親しげに話しかけたり失礼とは思わず「太っていますね」「君は背が低いね」などと言ったり、目上である校長先生に「どうして先生は禿げているのですか」などと思ったことをストレートに口にしてしまいます。
 
自分の関心があることについては、例えば国旗、電車の型番や時刻表、カレンダーなどとてもよく知っていて知識も豊富でよく話せますが、日常会話の基本的な挨拶や仲間に入る時の交渉に使う言葉が身についていないこともあります。話をしていてもよく聞いてみると会話ではなく一方的に言いたいことを言っています。
 
また、自閉症の人は先を見通しながら想像力を働かせて考えたり、周囲の変化に応じて柔軟に対応したりすることがとても苦手です。このため特別な限定したものだけに強い興味を示したり、儀式的行為にこだわります。時間や場所、道順を変更できない、ルール違反を極端に嫌う、初めて行く場所では落ち着くことができないなどとこだわりと言われるものです。これが崩されると不安に自傷などを行いパニックに陥ります。
そして、知的に遅れがない自閉症の場合は診断が遅れる場合が多く、特に自閉症の1つで言葉にも遅れがないアスペルガー症候群は大人になるまで気づかれず、周囲からは「かなり個性的、変わった人、空気が読めない人」と見られているケースもあります。
 

 
これら4種は知能の遅れがない知能指数70以上ものを差します。人間の知能の平均は100です。「IQ70 えっ?低い!」と感じるかもしれませんが、70あれば知的遅れはないとされます。人には色が白い黒い、アレルギー体質、そうでないはない、顔のつくりがよい、それほどでもないなど生まれながら違いがあります。これと同様に知能にも幅があるのです。よく「高機能自閉症は知能が高い」とその「高」という言葉から誤解を生じることがありますが知能指数70もあれば140以上というのもあるのです。
 
そして、幼児を持つお母さんはその落ち着きのなさ、友達と関われないなどの特徴を示す「広汎性発達障害」「注意欠陥多動性障害」に関わることが大半です。学習障害(LD)は本格的な勉強が始まらない幼児期に気づかれることはあまりなく小学校4年生以降、診断されることが多いです。
 

受け入れられない親の気持ち

 
診断を受ける形は千差万別です。幼稚園・保育園の先生に相談するのも一つの方法です。けれどもここで注意することがあります。先生の中にもきちんと理解をしていない人がまだたくさんいます。小児科医にも専門知識のない医師もいるくらいです。ですから、お母さんが積極的に園に心配な面を相談しても「問題ないですよ」「しばらく様子を見ましょう」「もう少し接する時間を増やして」のような誤った助言を受けることもあります。 相談先として適しているのは地域の相談センターや病院の小児神経科や小児精神科です。勇気を奮って足を運んでみましょう。
 
私の場合はたまたま専門知識があったため息子が1歳の頃から「人見知りをする訳でもなく、人に関わる訳でもない、人間に関心を示さない。代わりに文字・数字に執着している」「たいていの子どもが好きな着ぐるみやお遊戯に興味を示さない。目の前に着ぐるみがいても怖がるわけでも喜ぶわけでもなく、そこにそれがいないかのように振る舞う」などのおかしな行動に薄々気が付いていたこと、加えて2歳になっても難語さえ話さないことが気にかかっていました。たまたま、かかっていたアレルギー科の先生に気軽な気持ちで相談しました。大きな小児病院で様々な科があったためアレルギー科受診の時「じゃあ今度、小児精神科の先生の予約入れておきますね」と言われ、その後受診しました。そこで診察室に入って1分もしないうちに「お子さんは自閉症ですね」と冷たい一言。奈落の底に突き落とされました。「食物アレルギーと自閉症の二重苦! 育てられない。自信ない。誤診だ」と待合室で大泣し、看護士さんに背中をずっとさすってもらっていました。
 
そう簡単には認めるわけにはいきませんでした。「あの医師はやぶ医者だ!」と決めつけ半年に渡るドクターショッピングが始まりました。「喋らないのは耳が聞こえないからだ」とも思い耳鼻科で何度も検査を受けました。期待は外れ、耳はちゃんと聞こえていました。私は耳が聞こえないことより自閉症である方が嫌だったのです。小児精神科も数軒回りました。でも、どの医師からも「自閉傾向」「自閉症の疑いあり」と言われました。現実を受け入れたくない私の心は都合のいいように解釈し「疑いということは違う可能性もあるのか」と捉えました。こうやって月日がいたずらに過ぎて行く中、益々、他の子ども達の差は歴然としてきました。そして、現実を受け入れざるを得ない状況にいよいよなってきました。こういうとき「傾向」「疑い」「かもしれない」と曖昧に診断されるとスタートがまず遅れてしまうのです。
 
さて、ダウン症でも他の障害でも子どもの障害を受け入れる親の心情は次のプロセスを踏みます。私も同じでした。
 
(1)この子はどこか違う。育てにくい。病院に相談に行く。
(2)診断を受け、ショックを受ける。場合によっては相手を恨む。
(3)障害を受け入れられない時期が続く。
(4)「どうしてウチの子だけが……」と思い、周りを妬み、自分を責める。
(5)現実を受け入れる。
(6)確かに腑に落ちることが多々あると気付き今までの疑問が霧が晴れるようにわかる。
 
「(5)現実を受け入れる」ここに数ヶ月で到達するお母さんもいれば数年かかるお母さんもいます。私は半年で受け入れました。きっかけは同じ障害を持った親の会である“自閉症協会”に入会して、同じ障害を持つ親の仲間、相談相手ができたからです。ランチしたりお出かけしたりして心が段々晴れてきました。主治医から半年で受け入れたのは比較的、早い方だと言われました。
 
さて、受け入れたら子育ての仕方のスイッチモードを切り替えましょう。決して「できるだけ健常児に近づけよう」なんて思わないことです。個性の一つ、性格の問題としたくなる気持ちもわかりますがそうではないのです。どんなに努力しても健常児にはならないのです。死ぬまで障害を抱えて生きて行かなくてはならないのです。お爺さんお婆さんになっても自閉症は自閉症、学習障害は学習障害なのです。特に発達障害の子どもは能力にムラがあり、得意、不得意が著しいので個性の一つという人もいますが、これは気質や性格からくるものではなく、家庭環境による後天的なものでもなく先天的な脳の機能障害という捉え方をしてください。
 
このシリーズで後述しますが、幼児期に障害に合った子育てをしないとこじらせ、その結果として思春期にこの蓄積が不登校や引きこもり、鬱、などの情緒的障害を伴ったり、チック、吃音を示したり、反抗的・挑戦的な面が強くなって反社会的な行為に及んだりすることもあります。これを元の障害への適切な対応を行わなかったために現れた情緒的にこじれた状態、二次的な現象として“二次障害”といいます。本来は防げたものです。知的に遅れがある場合は親が受け入れ、その障害に合った対応をしますので二次障害は起こりません。これは発達障害児特有のものです。この二次障害で苦しんでいる多くの成人の人がいます。
 
人生は連続です。子育ては今の眼先、1~2年先を見ていてはいけません。幼児期に適切な支援をしなかったしっぺ返しが後になって必ず来ます。そしてその時点で人生を巻き戻し、幼児期には決して戻れないのです。
 
今は辛いかもしれませんが受け入れて行きましょう。そして必要とあれば手帳をとって早い段階から福祉の世界とつながっておきましょう。
 

 
(追記)
私自身の自閉症の子どもをもって思うことは立石美津子のオフィシャルページ“自閉症”のカテゴリーにアップしております。他の記事も面白いですから是非ご覧くださいね!
 
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立石美津子
1961年 12月大阪市生まれ
聖心女子大学 文学部教育学科・初等教育課程にて幼稚園教諭・小学校教諭免許取得後
石井式国語教育研究会にて故石井勲先生の元、全国の幼稚園・保育園に漢字教育を普及
「漢字はひらがなより易しい」という石井先生の教えにより“障害児教育が教育の基本”“障害時に理解し易い指導法は健常児にも分かり易い”の考えから、佛教大学にて特別支援学校教諭1種免許を取得し、障害児の漢字教育を行う。
平成7年 株式会社パワーキッズを設立。自らも自閉症児(知的障害を伴う自閉症なので発達障害の範疇には入らない)の子育てをしながら、現在、エンピツらんどの指導責任者として3歳から小学校3年生までの健常児・発達障害児の指導法の開発に奮闘中。
著書に「小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと」「読み書き算数ができる子にするために親がやってはいけない104のこと」(中経出版)がある。
ホームページ http://www.enpitsuland.com/
立石美津子のオフィシャルページ http://tateishi-mitsuko.com/
 
…………………………………………………………………
★ママそらFacebookページ
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黄野 いづみママそらディレクター

投稿者プロフィール

キアノ・インターナショナル株式会社 代表取締役
「子どもの輝く未来のために、子どもの心を育み親子でHAPPY に!」をコンセプトに、木製玩具、アートグッズの輸入販売や心を育む遊びの提案を行っている。海外生活の経験を活かし、楽しみながら英語に触れることのできる遊びも紹介。グローバル時代を生きる子どものために、豊かな感性や表現力、発信力、人間力を育むプロジェクトに取り組んでいる。2010年生まれの男の子のママ。

★Facebookページ 子どもの心を育むHappy Project 
https://www.facebook.com/kidsstarjapan

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