テキトー母さんのすすめ①〜他人の子どもや兄弟と比較するエンドレス地獄〜


こんにちは。立石美津子です!
ママそらさんではこれまでに「発達障害」「食物アレルギー」「お片付け」でコラムを書かせて頂きました。
今回は「テキトー母さん」について5話、語りたいと思います。
というのも、「テキトー母さんのすすめ」を出版したからです。こちら↓

といきなり書籍の宣伝!「なんだ~要は買ってほしい訳ね、営業しているのね」と思われた方!現実をお話します。

 

■そんなに甘くない著者生活

人からよく「書籍を五冊も出して『印税生活でお気楽ねえ~』」と言われることがあります。

世の中そんなに甘くない!印税だけで生活なんて出来ません。その理由は・・・・

毎日、新刊が200冊出版されていると言われています。毎日ですよ!その90%が初版止まり、部数6000冊くらい、だから計算するとこうなります。

(例)

1300円の書籍×印税率8%=一冊売れて 104円
104円×6000冊=62万円

年に何冊も書ける訳じゃあありません。
10万部とか出れば印税だけで年収1000万もあり得ますが、そんなヒットメーカー、ほんの一部の著者のみ!

だから、大学教授であったり起業家だったり、自分でお店やっていたり本業が別にあります。
一冊の書籍を仕上げることは結構、大変な労力。なんだかんだ言って最低1年はかかります。

 

■他人の子どもや兄弟と比較するエンドレス地獄

では、見返りが少ないのに何で書くのでしょう?それは世の子ども達を幸せにしたいからです。

こちらは本の“前書き”です。(加筆してあります)

なぜ「テキトー母さん」が子どもにとっていいのか書いています。

(前書き)

子育てサイトをネットサーフィンする人、子育て本コーナーに足繁く通う人は、きっと「ちゃんとした子どもに育てたい」と強く願う教育熱心な“完璧主義母さん”でしょう。

妊娠中は「無事に生まれてくれさえすればいい」「五体満足であれば女の子でも男の子でもいい」と思っていたことでしょう。

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そして、元気に産まれてきてくれた我が子を見てとても幸せな気分になったのではないでしょうか?

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ところが、そう思ったのも束の間。子育ては思い通りにならないことがたくさん起こります。

子どもが産まれると、突然「お母さん」になります。おむつの替え方や母乳のやり方は習うことができても、褒め方や叱り方、しつけの仕方は誰かに教わることはありません。

そうなると必然的に、自分が親から受けた育て方をそのまま自分の子どもに再現してしまいます。だって、自分の親の育て方しか知らないのですから・・・・

もし、あなたが親から「〇歳だから△できなきゃいけない」「◯歳だから△△すべき」という育てられ方をしていたら計画通りに進まない子育てに焦りと不安が募るでしょう。

 

子どもが8ヶ月になったら

「○○ちゃんの子は離乳食モリモリ食べるの、うちの子はミルクしか飲んでくれない」

1歳になったら「○○ちゃんはもう歩いているのにうちの子はまだ」

2歳になったら「○○君は二語文話すのにうちの子は単語だけ」

4歳になったら「お友達はひらがなが書けるのにうちの子は全く書けない」

 

欲求は更にエスカレート

18年後・・・・

「○○さんとこの子は一流大学に合格したけれどうちは浪人生活」

「○○さんとこの子は正社員だけどうちは非正規雇用」

 

いつまでも結婚しないと「うちの子はまだシングル・・・」と悩む。

結婚したら「○○さんのお宅は孫が4人もいるのにうちはまだ。

死ぬまでに孫を抱きたい」とお嫁さんを脅迫

他人と比較する人生、エンドレス地獄。ないものを見つけるのが得意で、手に入らないものだけ追い続けて人生終える悲しい人

もし、こんな風に育てられたら、自己肯定感なんか付くはずがありません。

一番よいのは子どもを縛らず、親の価値観を押し付けない力の抜けた「テキトー母さん」になることです。

 

■教育熱心すぎる母

私は32歳のときに学習塾を起業し(=「エンピツらんど」という教室です)7000人にのぼる乳幼児~小学生の教育に携わってきました。今も保育園や幼稚園で子ども達に関わっています。

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そして、何を隠そう私自身が、徹底的に過保護・過干渉の完璧主義な母親に育てられた人間です。

 

3歳で雅子妃が通われていた田園調布雙葉学園の付属幼稚園を受験して不合格

(田園調布雙葉幼稚園)

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地元の幼稚園に通いましたが、諦めがつかない母が選んだ小学校は国会議事堂の麓にあった永田町小学校への越境入学

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けれども、出来の悪い私は無理をして優秀な子どもばかりいる学校にいることになり,成功体験も達成感も得ることの出来ない暗い小学校時代でした。

それでも中学は編入試験を受け美智子妃殿下の出身校、聖心女子大学の付属中学に入り込むことが出来ました。

そこは東京から遠く離れた富士山の麓にある学校でしたので、中学2年~高校の5年間、親元を離れて寄宿舎で過ごすことに。しかし、母の過剰な庇護を受けて過ごした私は、母がいないと何もできない自信のない子どもになっていました。

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それでも、親の期待に応えようと猛勉強し高校では成績はトップクラス、無事、大学に進級出来ました。しかし、既に私の脳には「○○でなければならない」という完璧主義の思考癖がしっかり沁み付いていました。

大学時代は・・・・

「優秀な成績を収めて卒業しなくてはならない」といった勉強面だけでなく・・・・

「立派な学歴を持った彼氏がいないと女としてダメ」「体重は47キロを維持しないとダメ、太っていてはダメ」「世間に自慢できるような大企業に就職しなくてはならない」そして、「これらを手に入れられない自分は価値のない人間」と思うようになっていました。

 

■心の病を発症してしまった

その後、就職してもうまくは行きませんでした。誰でも乗り越えられそうな小さな挫折に対して自己肯定感がない私は「一度ダメになると立ち直れない風」に育っていました。

今までのツケが回ってきたのか悲鳴を上げた心はポキンと折れ、社会人にになって間もなく“強迫観念神経症”を発症(不潔恐怖とか対人恐怖とか言われるものです)折角入った会社をたった2ヶ月で退職。精神科に入院し、治療が開始されました。

そんな経験があったので、もし自分に子どもができたら「絶対に私と同じ道は通らせないぞ!」と、強く心に決めていました。

 

■負の子育ての世襲

ところが、38歳で妊娠したとき真逆な行動に出る私。まるで内なる母、インナーマザーに支配されるように「優秀な子に育てなければいけない!」という思いに駆られるようになってしまったのです。

 

まだ妊娠9週目から、モーツァルトのCDを聴かせたり1日30冊の絵本を読み聞かせたりストイックな胎教、出産後も毎日、漢字カードを見せていました。気が付くと母と同じことをしていたのです。

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■サジを投げてしまった私

でも、結果として、その努力は実りませんでした。

「言葉のシャワーを浴びせかけていても、沢山の絵本の読み聞かせをしても、“ワンワン”“ママ”の喃語の一つも出ない言葉が出ない息子」を不安に思い病院を受診。「はい、お子さんは知的障害のある自閉症ですね」あっさり診断されてしまいました。2歳の時です。

それから私は子どもに期待することを諦め、さじを投げてしまいます。

診断後、一年間は引きこもり鬱状態でしたが、次第にあるがままの子どもを受け入れるようになりました。

それからは、健常児の親だったらスルーしてしまうような鼻糞みたいな小さな成長、「ボタンがはめられた」「水道の蛇口を一人でひねることが出来た」こんなことでイチイチ「凄い、凄い」と感動できるようになりました。

「○○が出来ない」とないものばかり探す悪い癖はめでたくここで終わりました。

中学生の息子は自分が周りより劣っているのに全く意に返していない風。何だかいつも嬉しそうです。買い物一つ出来ないですが自己肯定感に溢れています。

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障害児ママの中には完璧主義に走りストイックに療育にはまる人もいますが、私は違います。多分、「健常児に出来るだけ近づけなくてならない」と思って育てていないので、きっと息子も毎日が幸せなんだと思います。

今にして思えば、もし子どもが障害児でなかったら、私は自分が受けた辛い経験と同じことをさせていたでしょう。

「子育て世襲、負の連鎖」を止めることができたのは、息子のおかげだと思っています。きっと神様が「これではいけない」と思って、私のお腹に息子を下さったんだと思います。

 

■なぜ、「テキトー母さん」を書いたのか

心の病を発症、障害児を出産などショッキングな出来事でも起こらない限り、お母さん自身の行動が子どもを苦しめているとは気づけません。だってみんな“子どものためによかれ”と思ってやっているわけですから

だからこそ私は、子育てに奮闘しているお母さんに一度立ち止まって自分の行動を振り返ってみてほしいと思ったのです。

そんな私自身の体験と、長年の教育現場での経験を通して「完璧主義ではなく、テキトーに育てることが人生のスタート地点で自己肯定感を確立させ、幸せな人生を送ることにつながる」と確信するようになりました。

子育ての目的は「自立」。そして自立するために一番大切なことは、自分を好きでいること。自分を好きで自信を持てるからこそ、どんな辛い事があっても、それを乗り越え人生を切り開いていくことが出来るのです。

 

■テキトーとは「ちゃらんぽらん」でなく「程よいさじ加減」

とはいえ、いきなり「テキトーになれ!」と言われてもハードルが高いですよね。「そもそもテキトーに育てろなんて無責任じゃないか?」と思われても仕方ありません。

実は「テキトー」って「放置」とか「投げやり」ではなくて「子どもにのめり込む過保護、過干渉を止めていい距離感をとっていきましょう」ってことです。だから結構、高い技術がいるんですよね。

そこで、「テキトー母さん」というキャラクターに登場してもらうことにしました。

一見ズボラで、ちょっと頼りないお母さんに見えるかも知れませんが、それが子どもにとても良い影響を与えています。もし、子育てに行き詰った時は「テキトー母さんならどうするか?」と聞いてみてください。そして、あなた自身がテキトーになりきれなくても心の中に、テキトー母さんを住まわせてあげてください。
ママ空サイトでは本の中から抜粋して明日から4話、ご紹介します。少しでも子育ての肩の荷が下りればと思います。

 更に詳しく知りたい方は手にとってくださいね。

「テキトー母さんのすすめ」(日本実業出版)

urx.nu/el3t

イラストⒸあべゆみこ

 

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立石 美津子

投稿者プロフィール

幼児教育専門家・作家・講演家
32歳で学習塾を起業。現在は保育園、幼稚園で指導しながら執筆・講演活動に奔走。自らは自閉症・アレルギー児の子育て中。著書に『小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと』『読み書き算数ができる子にするために親がやってはいけない104のこと』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたった時に読む本』『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』等

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